犬のような胴体のもの

「これは神様だよ。」

それだけを
コウブンさんは言うのであった

YOSHIDA KOUBUN
photo hiraoka shoko






























無花果をつけた木
悔いなく、
生きる事を全うしたような
力強く枯れた葉

恐ろしく美しいものを見た気がした。

「そーんな枯れたもの撮って、もの好きな人もおるもんじゃ。
そんなんよりいいもの見せてやる」
と、おじいが連れて行ってくれた畑の堆肥の中では
大きく育った甲虫の幼子が
何十匹もぷりぷり生きていて

花びらが散った地面に置かれた幼子は
私たちが知らない世界から
生まれてきた事を歓迎されているようだった。